新刊めったくたガイド
1978年6月発行の第9号からスタートした「本の雑誌」の看板コーナーが、WEB本の雑誌に登場!
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2023年4月号
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書評担当者:すずきたけし
"光の巨匠たち"のインタビュー集が面白い!
"マスターズ・オブ・ライト"=「光の巨匠たち」。なんと神々しいネーミングなのだろう。デニス・シェファー、ラリー・サルバート編著『マスターズ・オブ・ライト[完全版] アメリカン・シネマの撮影監督たち』(...記事を見る »
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書評担当者:松井ゆかり
一度も会話のない母娘の物語 朝比奈秋『植物少女』
春は始まりの季節。今月は"新人作家祭り"ということでお届けしたい。全員二〇二〇年以降のデビューというフレッシュなみなさんである。 朝比奈秋『植物少女』(朝日新聞出版)は、一度も会話をしたことのない...記事を見る »
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書評担当者:酒井貞道
年度ベスト級のミステリ『木挽町のあだ討ち』を読むべし!
あらゆる要素が最終章で美しく収斂する、年度ベスト級のミステリが現れた。その永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)は、江戸時代を舞台とする時代小説だ。木挽町にある芝居小屋の裏手で、若侍・菊之助が博徒...記事を見る »
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書評担当者:大森望
西暦80万年の小説からゴリラ裁判まで新春新人ショーだ!
今月は、新春シャンソン......じゃなくて新春新人ショーを勝手に開催する。まずは第10回ハヤカワSFコンテスト受賞作から。大賞を射止めた小川楽喜『標本作家』(早川書房)★★★½は、人類文明がとっく...記事を見る »
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書評担当者:石川美南
ルーツを辿り、世界を手繰り寄せる『彼女はマリウポリからやってきた』が凄い
手元に残るのは、母の写った三枚の写真。それにウクライナの婚姻証明書と、ドイツの就労証明書のみ。ナターシャ・ヴォーディン『彼女はマリウポリからやってきた』(川東雅樹訳/白水社)は、ある日、半世紀以上前...記事を見る »
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書評担当者:柿沼瑛子
キャリア45年の女殺し屋爪角の生きざまを見よ!
ク・ビョンモ『破果』(小山内園子訳/岩波書店)のヒロイン爪角は「ノワール×おばあちゃん?!」という帯の惹句のごとく、キャリア四十五年のベテラン殺し屋である。目立たない老婆であるという外見をいかし、必...記事を見る »
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書評担当者:すずきたけし
好奇心を奮わすクラカワーのルポルタージュ集
マーク・フィッシャー『奇妙なものとぞっとするもの 小説・映画・音楽、文化論集』(五井健太郎訳/Pヴァイン)は、二〇一七年に自死した哲学者であり批評家である著者による最後の著作。「奇妙なもの」「ぞっと...記事を見る »
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書評担当者:松井ゆかり
片瀬チヲルのシンプルな物語に感動!
片瀬チヲル『カプチーノ・コースト』(講談社)は、"概ね全編にわたって主人公が海岸でゴミを拾う"というシンプルな物語であるが、不思議な感動を呼び起こす。早柚はある事情で会社を休職中。五月のある日砂浜を...記事を見る »
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書評担当者:酒井貞道
青崎有吾の短篇集『11文字の檻』に圧倒される!
『11文字の檻』(創元推理文庫)は、ミステリ作家・青崎有吾の、高密度で幅の広い芸風が読者を圧倒する。 最初の二本は、挨拶代わりの本格ミステリだ。「加速してゆく」は、JR西日本の福知山線脱線事故を題材...記事を見る »
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書評担当者:大森望
超高密度のサイキックSFサスペンス谷口裕貴『アナベル・アノマリー』完結!
シリーズ第1作「獣のヴィーナス」の〈SF Japan〉掲載から22年。既発表2篇に新作2篇を加え、谷口裕貴『アナベル・アノマリー』(徳間文庫)★★★★がついに出た。12歳の少女アナベルは、人為的に生...記事を見る »
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書評担当者:石川美南
『絶縁』がつなぐ縁! アジア作家九人による濃密なアンソロジー
日韓同時発売のアンソロジー『絶縁』(小学館)が、濃い。当初は日韓競作の企画だったが、韓国の作家チョン・セランから「韓国と日本だけでなく、アジアの若手作家が同じタイトルで短編を書くのはどうか」と提案が...記事を見る »
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書評担当者:柿沼瑛子
「悪」と対決する若造主人公を応援する!
ウィンストン・グレアムの『罪の壁』(三角和代訳/新潮文庫)は一九五五年のCWA第一回最優秀長編賞作品である。主人公フィリップは考古学者の兄がアムステルダムで投身自殺したという連絡を受け、急遽アメリカ...記事を見る »