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第2回

 今回は上の娘の話を。小学5年生になって、身長体重がいよいよ私に近づいてきたのに加えて、体つきや雰囲気がぐっと女の子っぽくなってきました。引越しをきっかけに髪を伸ばし始めたせいもあるのでしょうか。それまではいつも男物のズボンにTシャツ姿かつ野球帽にショートヘアで、ぱっと見では男か女かまったく見分けがつかず、デパートで女子トイレに入ると必ずといっていいほど、よそのおばちゃんに「あらっ、男の子はあっちよ」と声をかけられるような子だったのです。が、5年生になってからは、格好は同じなのに、どことなくかもし出す空気に女の子らしさが出てきたのです。

 今までは体は薄くぺったんこ、手足は棒、という子供体型だったのが、なんとなく厚みや微妙な凹凸が出てきて、丸みをもった体つきに。同い年の、骨っぽい男の子の体つきとは歴然と違う。もう、銭湯でもパパと男湯には入れないな。というかパパとお風呂に入ること自体、そろそろ意識するお年頃かな?今のところ、本人はまるで平気で、いまだに一緒に入ってますが。私は同性だからあまり感じないけど、パパのほうはこの成長にはちょっと複雑な心境かも?(笑)顔つきも幼さが抜けて、大人びた感じに。ああ、頬の丸さがなくなってきたのかな。

 女の子に限らず、10歳というのはひとつの成長の境目なのでしょうか。そういえば、こないだの2月に学校で1/2成人式というのもやったしなあ。わが子ながら、ときどき「これがあの小さかった娘? ついこないだまで、踏み台使わないと水道に手が届かなかったあの子と同一人物? ほとんど別人28号ですよ?」と、なんだか信じられないような気持ちになります。毎日一緒にいる親にすらその変化がわかるほどなので、たまに会う祖父母たちや、実家に帰省した時に挨拶する、元のご近所さんたちなどはもっとびっくり。「うわ、ずいぶんお姉さんになったねえ!」と皆口をそろえて言います。

 しかし、中身はどうかといえば、子供の部分はまったく前のまま。相変わらずの甘ったれで、弟にヤキモチやいて彼を押しのけてママに抱きついてみたり、お菓子の袋を持ってきて「ママ開けて~」なんて言ってみたり。そんなの、自分で開けられるでしょうに。でもあえてママにやってほしいんだよね。さらにはいまだに1人でお風呂に入れない、1人で寝られないという始末。や、決して「できない」わけじゃないんですよ。ボーイスカウトなどでお泊りは慣れてるので、自分の体が洗えないわけじゃない。寝るのだって、いつもはパパと寝てるんですが、パパが残業で遅くなる時や、出張の時はあきらめてひとりで寝られる。ただ、そういったやむをえない場合を除いては、絶対に誰かと一緒でないとイヤなのね。

 5年生になっても、精神年齢ってこんなもんだったかなあ?昔のことはよく覚えてないけど、私がこの年代だった時はもう少しちゃんとしてたような気がするけど。お風呂も1人で入ってたし、自分の部屋で寝てたわよ? この子、ちょっと甘えんぼすぎないか? ていうか甘やかしすぎた?

 別の見方をすると、お姉ちゃんはカイトがいる分、親の前ではあえて子供ぶりっこしているのかもしれない。「あたしもまだまだ子供なの、かまってかまって!一緒にいて!カイトと同じくらい甘えさせて!」って。家ではわざと子供の顔だけ見せて、外では案外もっとずっと大人の顔してるのかも。そういう外の顔は絶対に親に見せないから、これがまたやっかいなんですよね。学校の先生や、よそのお母さんから娘の話を聞くと、「え!? そうなんですか!?」と思うことばっかり。たとえば学校の机の中はいつもすごくきれいに整頓してるらしいんだけど、家の中だと部屋はぐちゃぐちゃ、居間で使った文房具やゲームは出しっぱなしですよ? いつも私に怒られて、ぶうぶう言いながら片づけてる。なんで家だとできないのかなあ? これはつまり外で気を張っていい子にしてる分、家でぐだぐだと親に甘えて、2面を使い分けて心のバランスを取っているってことなんでしょうか。

 最近一番ムカつくのは、口答えが多いこと。何か頼みごとをしても、素直に「はい」と言ったためしがない。必ず「ちょっと待って!」か、「え~なんでぇ~」「今これやってんじゃん!ママ、見えないの!?」「重くて持てな~い」「できな~い、ダメ、無理!」。とにかく絶対にゴネる。そんなに難しいこと頼んでないんですよ、「ご飯だから、テーブルの上片づけて」とか「ちょっとこれ持って」とかいう程度なのに。なんでそういつもいつも言うこと聞いてくんないのかなあ!

 でも本当にヤバイ時には助けてくれるんですよ。カイトが吐いた時にタオルを持ってきてくれるとか、そういう緊急事態には動いてくれる。あれ、ちゃんと親の本気度を見抜いてるんだよなあ。そのへんがまた小憎らしい。

 ここで、親が同じ土俵に立っちゃダメなんですよね。子供と同レベルになってカリカリ怒っちゃ負け。って私はいつもダンナから「君たちの言い合いは、まるで子供のケンカだなあ」って言われてるんですが(笑)。ああ、子育てに必要なのは、「忍耐」と「広い心」だってつくづく思います。子供が腹立つことしても、ガーッと怒鳴らず、ぐっとこらえることができる忍耐力。何かカチンと来ること言われても、ああさいですか、とさらりと流して、甘えたいときにはたっぷり甘えさせてやる広い心。理想は孫悟空のお釈迦様のように、子供がどんなに暴れても所詮は親の手のひらの上、といきたいのですが。現状では、売られたケンカはすぐに買ってしまう江戸っ子な母(笑)。ガキんちょすぎるぞ、自分……。

 思春期の子供を育てるのは、赤ん坊や幼児とはまた別の次元で、すごく大変なんですねえ。子供がどんどん大人になっていくんだから、親はさらにそれよりももっと大人にならなきゃいかんのですね。子供の一挙一動に、どう対処していくか。まさに親自身の人間性、今までつちかった人生経験までが問われてくる。騙しやごまかしは効かない、1対1の魂の真剣勝負。いやはや、思春期の子育てには、親にもさらなる修行が必要なようです。