WEB本の雑誌

第21回

 カイトのトイレトレーニングが始まりました。まずは朝、紙パンツにウンチをした後に布パンツへさりげなくチェンジ。最初は履くのすら拒否していた布パンツですが、最近はお尻が大きくなったのか、紙パンツの両脇のひだがお尻に食い込むのが不快みたいで、嫌がらずに履いてくれるようになりました。夏は紙パンツのウエストも汗でムレてかゆくなるから、絶対布パンツのほうが気持ちよいはず!という作戦も成功した模様。一度履けばその快適さが気に入ると思ってたので。

 初日は計6回おもらし。居間で遊びながら、そのままナチュラルにもらしてました。「出ちゃった」という報告もなく、そのまままったく平気で遊び続けており、私が「ん?カイちゃん、なんかおしりぬれてない!?」と気づくまでそのまんまでした。おいおい、こんなびしょびしょで気持ち悪くないのかよ? ソファだろうと、ラグの上だろうと、床だろうと、いつでもどこでも垂れ流し。もう替えのパンツがないよ! ええ、6枚しか買わなかったんです。失敗でした。もっと必要だったか。「カイちゃん、おしっこ出たら言わなくちゃダメじゃん!おしっこはトイレかおまるでやるんだよ!」と言っても本人は罪悪感も恥ずかしさもまったくないようで、けろりとした表情。やれやれ……。お風呂につれてってお尻と足をシャワーで洗ってやり、着替えさせ、もらした場所を拭いて、タオルと濡れた服を洗濯機に放り込む。2、3枚まとまったところで洗濯機を回し、干す。

 カイトはわりとおしっこの間隔が長くて、一度にまとめてやるタイプのよう。なので、前におしっこしてから1~2時間たつとそろそろヤバそうだな?と思って「カイちゃん、トイレ行こうか?それともおまる座ってみる?」と誘うのですが、「だいじょうぶだいじょうぶ~!」と楽天的な答え。大丈夫じゃないっつーの。あくまでもトイレやおまるを拒否するかねキミは。案の定、そのあとしばらくしてから居間でジャー。女の子は尿管が短いから、トイレに座ると尿意がなくてもたいがいちょろちょろっと出たりするんですが、男の子は尿管が長いから、ギリギリまでためておけるそうですね。だから出る寸前まで尿意がなくて、でも出したくなったときにはもう限界まで来てるので、我慢できずにすぐ出ちゃうとか。

 おもらしに自分で気づきもしないなんて、カイトはそこまで鈍感だったのか。いやはやまいったなあこりゃ、どうしよう……と途方にくれておりましたが、3日目くらいから劇的な変化が出てきました。おもらしのあと、ガニ股スタイルでよたよたと私のところまで歩いてきて、泣きべそ顔で「ママ~、出ちゃった~、かえて~」と報告しに来るようになったのです! おお、さすがに濡れちゃうと気持ち悪いというのがわかってきたか! エライ、エライぞカイト! たった3日でこのレベルアップは予想もしてなかったわ! 「いい子だねえ、ちゃんとママに教えてくれてありがとう!」とう~んとほめてあげてから着替えさせると、かわいい声で「ママ、ごめんね」というひと言まで添えてくれるではありませんか。じ~~~ん。

 次の日には、紙パンツにウンチしたあとで「ママ、ウンチ出た、かえて」と教えてくれました。おお、これも初の快挙だわ! エライぞカイト、なんか急にいろいろわかってきたみたいじゃん! 「ねえカイちゃん、紙パンツにウンチするとベタベタになって気持ち悪いよね。今度からはウンチもトイレでしようよ」と言い聞かせると、ちょっと納得したような顔をしている。

 さらにその翌日も、「ウンチ出た」と報告。よしよし、快調だぞカイト。後始末をして布パンツに替えてからしばらくすると、1回では全部出し足りなかったのか今度は「ウンチ出る」と事前報告が! ついにキタ――――! はやる心を抑えつつ、さりげない顔で「トイレ行く?」と聞くと「うん」と素直に返事。えっマジで? おお、ついについに夢のトイレウンチ実現なるか!? 事態の急転直下ぶりにママは心の中で万歳三唱ですよ!

 しかしそう都合よくとんとん拍子に事は運ばない。カイト、5分くらい頑張って座ってくれましたが、残念ながら出ませんでした。補助便座だと足がぶらぶら浮いちゃうから、やっぱりうまくふんばれないのかなあ。まあ、慣れが必要かもしれないね。でもとりあえず、カイトがトイレに座ってくれたというだけでママはうれしくてうれしくてそのへんを走り回りながら大声で叫びたいくらいですよ! 「ご近所の皆様、本日我が家の3歳になる息子がトイレに座ってくれましたっ!!」はい、親バカ炸裂です(笑)。

 さらにはその午後、出なかった朝の分をまたもよおしたらしく「ウンチ出る」と言うので、「今度はおまる座ってみる?」と聞いてみたら、またしても素直に「うん」と座ってくれるではないですか! しかしこれも5分ほど座っていたけど成功せず。しかしトイレに続いて同じ日におまるにも座ってくれたなんて、ほんとびっくり!

 結局その晩、また「出る」と言いながら顔をしかめて力んでいるのであわてて見たら、もう布パンツの中に出し終わったあとでした……間に合わなかったか……。でもすんだあとも「まだ出る」と言って、もう一度おまるに座ってくれました。やっぱり5分くらい粘った末、出なかったけど、ママはカイトがトイレとおまるの両方に座ってくれただけでじゅうぶん満足ですよ。トレーニングを始めてから、たった5日でものすごい進歩だよ、うん。この調子で、あとはおしっこが出る前にトイレに行ってくれれば、なんだけど、それはまだまだ先かなあ。

 その後は、おもらししては「ママ、ごめんね」を繰り返しております。雨の日は、家じゅう至るところにカイトのパンツとズボンが干してあります。ううむ、梅雨になったらどうしよう……。とにかく布パンツの替えをもっと買ってこなくちゃ。そういえば思い出した、私の大好きな童話『ちいさいモモちゃん』(松谷みよ子)では、お母さんがモモちゃんのおむつはずしのためにパンツを30枚も縫うシーンがあったっけ。そのくらいの覚悟が必要なのね、って30枚はさすがに多いよね?(笑)