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第33回

 9月に仕事に復帰してから、ますます1週間が短くなりました。月曜夜7時半の「名探偵コナン」が始まるたび、「うそ!? ほんの3日くらい前に見たばっかりのような?」と愕然とする日々。気がつけば、カイトも保育園に入ってはや3ヶ月が過ぎました。しかしこの3ヶ月に、彼は驚くべき成長をとげたのです。

 入ったばかりの頃はトイレトレーニングの途中で、まだまだ紙パンツが手放せない状態でした。ウンチのおもらしこそしなかったものの、最初の1ヶ月は夕方お迎えに行くと、ロッカーの汚れ物入れビニール袋の中に、おもらしパンツとズボンが入っていたことがしばしばでした。あ~、やったか。一度はお昼寝用のお布団を濡らしてしまい、あわててその晩、帰宅後シーツを洗って乾かして翌日持っていったことも。以後はお昼寝の前には先生が紙パンツに履き替えさせてくれていたようです。が、そのおもらしパンツも徐々に減っていき、3ヶ月目の11月はほぼおもらしゼロ。保育園での紙パンツはすっかり不要になりました。

 いっぽう、家ではおしっこはほぼ完璧でしたが、まだ全然トイレでウンチができませんでした。どうしてもトイレでふんばるのが苦手らしく、何度ダメだといっても事前に教えてくれなくて、部屋で立ったまま紙パンツにしてしまう。そして布パンツでも……。

 夜は紙パンツで寝かせているのですが、カイトは朝にウンチをすることが多いので、保育園に行く直前までそのまま紙パンツをはかせておいて、ウンチしてから布パンツに交換していたのです。が、ちょっと忙しい朝など「今日は大丈夫かな」と思って起きてすぐ布パンツに替えてしまうと、2階で時計とにらめっこしつつ洗濯物を干してる時に階下から「マ~マ~」という情けない声が。うわっ、またか! 怒っちゃいけないと思いつつも、これはマジでムカつきます。「カイちゃん、もう~~~!! なんで出る前に言わないの、ウンチはトイレだよっていつも言ってるじゃん!布パンツにしちゃダメ!!」とひとしきり叱りつつお着替え。本人は「ごめんなさ~い」と言いつつもケロリとした顔。あ~、パンツもお尻もべっとりだよ……。ウンチパンツはトイレの便器でじゃぶじゃぶ水を流してブツを除去したのち、専用の洗面器に入れて、柄物ハイターを入れた水につけて庭に放置。洗うのは帰宅後。これが週に2、3回といったところ。

 ある朝など、さて行くか、とカイトに靴を履かせるためによっこいしょと膝に抱き上げた瞬間、私の腿に「もにょっ」とした柔らかくも嫌な感覚が……。も、もしやこれは!? 「カイちゃん?アンタもしかしてウンチしてない!?」と聞くとこともなげに「そう」と言われて、逆上したこともありました。ちょ、ちょっと! なんで言わねえんだよ! せめて申告ぐらいしてよもう~~!!

 が、11月のある日突然、転機は訪れました。急に「トイレでウンチする」と言い出したのです。ホントに?と思いつつも簡易便座に座らせたら、難なく成功。「うわ、すごいじゃんカイト~!! いい子だねえ~!!」と家族全員でほめちぎったところ、翌日からはもう問題なく、ちゃんとトイレでするようになりました。いったい今までの苦労はなんだったの?というくらいあっさりと。ああそうだった、子供ってこうやってある日突然ハードルを飛び越えるんだったわ……忘れてたよ……。その後もごくたまにトイレに駆け込むのが間に合わず、布パンツにしてしまうこともありますが、もうほぼトイレトレーニングはクリアしたと言っていいでしょう。ああ、ようやく紙パンツとおさらばできる日がやってきたのね……お母さん感涙だわ……紙パンツ買わなくてすむし(笑)。とはいえ、夜中だけはまだ親のほうが不安なので、紙パンツを履かせておりますが。でも朝になって濡れてることは皆無なので、もうやめてもいいのかな。

 もうひとつの大きな成長は、ひとりでご飯が食べられるようになったこと。やっぱり家にいると、どうしてもママを頼ってしまうのですね。ほっとくと全然食べないから、親鳥がヒナに餌を与えるように、いつも私が横からカイトの口にご飯を突っ込んでやっていたのです。保育園に入った最初のうちも、やっぱり自分で食べられないようで、ご飯はほとんど残している状態だったそうです。食事が口に合わないというより、どうしていいのかわからなかったんだろうなあ。

 それが、1ヶ月ほどたった頃から、もう家でも私の手助けなしに自分で食べるようになりました。むしろ今は自分のペースで食べたいのか、私が口に入れようとすると嫌がるように。離乳食から数えてほぼまる3年、毎食私はカイトに食べさせつつその合間に自分も食べるという、二人分の食事をコントロールしなければならないという不自由な状態だったわけですが、ようやく人の世話をせずにゆっくりひとりで食事ができるようになったのです。ああ、自分のペースだけ考えてご飯が食べられるのって、なんて幸せなんでしょう……!

 しかもなぜかカイトは「お箸」に固執するようになりました。大人の真似なのか、保育園での影響か? まだ保育園ではお箸は早すぎるからって、使わせてないはずなんだけどなあ。「カイちゃん、ご飯なんかポロポロこぼしちゃうんだから、スプーンにしなよ」と言っても断固拒否。「カイは、おはしがいいんだよ!」と、絶対スプーンを使わず、慣れない手つきで一生懸命ご飯を食べております。時々おかずがうまくつかめなくて「ああもう~」と自分で自分にイラつきながらも(笑)、幼児用の短いお箸で、めげることなく頑張っております。

 「かわいい子には旅をさせよ」とはよく言ったものですね。親元でベッタリしてるよりは、やっぱりこうやって外に出したほうが、子供の成長にとっては断然いいんだなあ。まあ喜ばしい成長ばかりでなく、うちのカイトも全国のお子様の例にもれることなく、保育園で「そんなの関係ねー」と「オッパッピー」と「欧米か!」を覚えてきましたけどね(笑)。