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第42回

 3月中旬の穏やかな晴れの日。ひーこの卒業式が行われました。私とパパのみならず、義母も私の実母も一緒に参列。学校に向かう途中、下校中の低学年の子供たちとすれ違いました。うわ、1年生や2年生って、こんなにちっちゃいんだあ。まだランドセルが大きくて、ガパガパしてる。ついこないだまで、ひーこもこうだったなんて、なんかウソみたい。信じられない。小学生って、入学時と卒業時で本当に全然違いますね。この6年間で、たけのこみたいにぐいいーんと成長しちゃうんだなあ。カラダも心も。

 ひーこは、卒業式はどうしてもスカートじゃなくてズボンで出る!と半年も前から決めていて、母の説得は頑として拒否。昔は中学の制服着用だったからお金もかからず、ラクだったんだがなあ。結局ブレザーの上着は女子用ですが、ズボンは男子用を購入。まったくもう、この頑固さというかマイペースっぷりは誰に似たのやら。卒業式当日の朝、スーツを着込んだひーこは、どっから見ても立派な男子。コスプレか!(笑)実際、卒業式に出た卒業生のうち、ズボンを履いてた女子は、60人中彼女ただ1人でした。ある意味あっぱれ。

 やがて、先生の挨拶のあと、卒業生入場。ひーこも厳粛な顔で列に混じっています。着席、礼、挨拶ののち、さっそく卒業証書授与。パパはビデオ係。じいんと感動するかと思いきや、むしろひーこが呼ばれた時はドキドキハラハラ。転ばないかな、ちゃんと賞状受け取れるかな、緊張のあまり手と足を同時に出して歩いたりしないかな。しかしそんな心配をよそに、彼女はしっかりと返事をして、無事に賞状を受け取り、ゆっくり堂々とした態度で舞台から降りてゆきました。ほっ。最初からただただ涙、涙だった保育園の卒園式に比べると、親側もだいぶ余裕。

 その後もどんどん、以前同じクラスになった懐かしいお友達の名前が呼ばれていきます。今の子は私立中学に進む子も多いので、ほぼ全員そのまま同じ中学に進級だった昔と比べるとずいぶんバラバラになってしまうそう。ひーこもその点はとても不安なようで、よく「中学の新しいクラスってどうかなあ、ひこちゃん、うまくやれるかなあ」と心配しておりました。意外と小心者で心配性なんだよな、この子。

 やがて来賓の挨拶に続き、在校生と卒業生の呼びかけ。これはさすがにちょっと感動でした。「(ひとり)みんなで参加した、修学旅行!」「(全員)修学旅行!!」みたいなアレ。卒業生が、懐かしい思い出の行事をあれこれ振り返っていきます。ああ、そんなこともあったよねえ。「お父さん、お母さん、今まで育ててくださって、ありがとうございました!」なんて呼びかけには、シナリオどおりに言ってるんだとわかっていても、やっぱりぐっと涙が出てしまいました。

 最後の仕上げは「蛍の光」か「仰げば尊し」か?と思いきや、なんかタイトルはわからないけど「今、別れの時~♪」みたいな歌詞の合唱曲でした。今は「仰げば尊し」歌わないんだね。時代は変わったなあ。でも在校生や卒業生が一生懸命歌う姿に、じいいんとしてしまいました。なんで子供たちのナマ歌って、こんなに感動しちゃうんだろう。涙スイッチ入っちゃうんだよなあ。

 そして卒業生退場。拍手しながら、「ああ、これで小学校生活が終わったんだ…」と肩の荷が下りたような気持ちになりました。終わった終わった、全部終わったんだ。2年間、夜6時半に毎日迎えに行った放課後ルーム、半年くらいだったけど頑張ったバスケ部、そして4年の秋に転校、6年の春にはまた再入学、とけっこういろいろあったよなあ。6年間ってけっこう長い。6歳から12歳まで、ここで育ったんだなあ。先生方、本当にありがとうございました。つつがなく、無事に大きくなった。何事もなく、今日の日を迎えることができた。ただそれだけで、感謝の気持ちでいっぱいです。

 最後に、先生と両親と卒業証書を持った子供たち、全員一緒にクラス集合写真をパチリ。なごやかに、晴れ晴れとした気持ちで、みんな笑顔で。さよなら、さよなら、みんなありがとう。そういえば、感極まって泣いてる子はほとんどいなかったな。どの子も楽しそうな、うれしそうな、いい顔してた。とても和やかでよい式でした。

 春休みには、松本からひーこの友達が3人泊りがけで遊びにきてくれました。もうみんな、大喜びの大はしゃぎ。夜も全然寝なくて、12時過ぎまでしゃべってました。うちの家族も含めてみんなでディズニーランドに行き、楽しく過ごしました。ひーこがどんなにうれしかったか、もはや筆舌に尽くしがたい。よかったね。松本の友達もずっと大事にするんだよ。私も素直で天真爛漫な、この松本の子達が大好きなので、とても楽しかったです。

 そして4月。ひーこは私の母校でもある中学に入学しました。幸運にも親友と同じクラスになれたので、ほっとしてる様子。部活も決まって、中学生活も順調にスタートしたようです。

 いっぽう、カイトは4月19日で4歳になりました。お尻がかぶれるので、もう夜の紙パンツともさよならしました。最近はひらがなもほぼ読めるようになり、今は自分から書く練習をしています。たいがいのことは自分でできるようになったので、以前と比べて世話はぐっとラクになりました。夜の寝かしつけも、今はパパがやっています。

 というわけで、気がつけば4年半近く続いたこの連載も、今回でおしまいです。ふたりとも元気にすくすくと成長してくれて、親としてはこれほどうれしいことはありません。そして、育児にまつわるあれこれを書き残す機会を与えてくださった、本の雑誌社の皆様に心より感謝して、筆を置こうと思います。親から子供への何よりのプレゼントになると思います、って逆に怒られたりして(笑)。「ママ、こんなことまで書いたの!ヒドイ!」って。

 いつもふたりに言ってることだけど、最後に。
 カイトとひーこは、ママの一番大切な宝物ですよ。ママの子供でいてくれて、ありがとう。