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第38回

 1月下旬に、中学の入学説明会がありました。来春から、ひーこもいよいよ中学生です。しかも彼女が通うことになるのは、私の母校。まさか親子で同じ学校に通うことになろうとは、当時は夢にも思わなかったわ。説明会は中学の体育館で行われました。ええと、ほぼ30年ぶりに足を踏み入れた勘定になるのかな。いやあ、何もかも皆懐かしい~。思わずきょろきょろとあちこち眺めてしまう。学校ってほとんど変わらないんだなあ。屋根がないから、雨の日は走り抜けないとびしょぬれになっちゃう渡り廊下とか、いまだに昔のまんまだわ。

 校長先生の挨拶のあと、中学では始業が何時で、1日のスケジュールがこんな感じで、授業数はこうで、行事はこんなのがあって、とざっと説明がありました。やっぱり公立中学は土曜休み。6時間授業の日も、週に3日しかありません。私の頃はほぼ毎日あった国語や数学や英語も、週にたったの3授業しかないのですよ。半分じゃん……。それでいて内容はさほど減ってないから宿題が増えるとか。もっと授業増やしてくれればいいのに~。先日ニュースでやっていましたが、ゆとり教育は廃止されるそうですね。でも、それが実施されるのは、なんとひーこが中学を卒業してから。彼女はちょうどゆとり教育がスタートした年に小学校に入学したので、義務教育の9年間まるごと、この弊害を受けてしまったのです。なんとも運が悪いといいますか。

 次に制服の説明。昔は学ランにセーラー服でしたが、今は男女ともにブレザー。2月上旬までに、指定のお店に行って、採寸・注文をしてくれとのこと。体操服もすっかり変わっていました。私の時代は懐かしのブルマーでしたからね!

 そして給食。これが聞いてびっくり。今は事前に配布された献立表を見て、A献立・B献立(ご飯献立と、パン・麺献立)と2種類の中から選べるそうなんですよ。で2ヶ月前にバーコードの表に注文を書いて提出すると、選んだものが食べられるとか。すげー。お弁当でもいいそうです。これはアレルギー対策かな。しかし、給食は5月スタートだそうで、4月はまるまるお弁当を用意しなきゃならないと言われました。え~、入学してすぐに給食用意してくれないなんて、ちょっとどうなのそれは?

 あとは入学式の説明を受けて終わり。最後の校長先生の言葉が印象的でした。「皆さん、何か質問はないですか?いいですか? ないってことは、この場で今、私たちと皆さんは、この条件でよいと契約を交わしたということですよ。」そう言われて、はっと身の引き締まる思いがしました。3年間、娘をどうぞよろしくお願いいたします。どうか、楽しく健やかな中学校生活が送れますように。

 余談ですが、私は学生生活の中では中学が一番面白かったのですよ。小学生はガキんちょすぎるし、高校生は同じレベルの子ばかりで、あまり飛びぬけて変わった人がいなかった。でも、中学はものすごくいろんなタイプの子がいたのです。クラスも当時は10クラスで、1学年400人以上いたし。家庭環境もさまざまで、まだ半分子供だから性格もみんなむき出しで。今思い出してもヘンテコな子ばっかりでしたよ、って自分もそうだったんだろうけど。日々新しい出来事があって、いつもはしゃいでいたような気がする。いまだに小さいエピソードをいっぱい覚えていますよ。ひーこもこの学校で、あんな楽しい毎日を過ごしてくれたらうれしいな。彼女は今、どの部活動に入るかを一生懸命考えているみたいです。

 今はケータイやネットがあるので、それらから発生するいじめなどの問題がやはりどこの中学もあるんだとか。校長先生は「持たせないのがベストですが、もし持たせるのなら親御さんが責任をもって下さい」とおっしゃっていました。ケータイのことでは、我が家でもいつも問題になっているんですよ。ひーこは「買って、買って、なんで買ってくんないの、皆持ってるのに~」攻撃。私は「ダメ。とにかく今はダメ」という徹底抗戦。まだはっきり決めてはいませんが、高校生になるまでは持たせるつもりはありません。わざわざ揉め事のタネになるようなものを与えるなんて無意味だと思うので。「よそはよそ、うちはうちです!」って子供の頃、私もさんざん聞かされたわ、その言葉。

 その週末に、家族で制服の注文に行ってきました。紺のブレザーにグレーのプリーツスカートの試着をしたひーこは、なんとも照れくさそうな表情。でも、6年ぶりにスカート姿を見た母としては、なかなか感動的なものがありましたよ。おお、ちゃんと初々しい女子中学生に見えるじゃないですか! 馬子にも衣装! 今のショートカットも中学生らしくて似合うよ、ってただの親バカですね。実際にこういう姿を目にすると、親としても、本当にこの子が春から中学に通うんだなあ、という実感がひしひしと沸いてきます。ちょっと誇らしいような、でもなんだか泣きたくなるような、じいんと心がしびれるような気持ち。彼女にも「どうよ?」と聞いてみましたが、特に感想はなかったものの、ちょっと頬がゆるんでるような。どうやらまんざらでもなかった様子。しかし、上履きや学校指定のカバンや体操服などを含めた、トータル金額を聞いて呆然。しめて6万6千円……! 公立なのにこの金額とは。制服おそるべし。

 ひーこの卒業式の服装も考えなくては。私の時代は、生徒は中学の制服を着ていったものですが、今はなんでもいいらしくて、これまた悩むところ。にしても卒業式ですか……。思い起こせば、ひーこの保育園の卒園式のときは、自分でもびっくりするくらい、最初から最後までぼろっぼろに泣いてしまった私。果たして今回はどうなることか、今から不安です。やっぱり大きめのタオルハンカチが必要かな……。