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第2回:あたらしい「本屋識別法」マニア篇~

 書評のお仕事を時々やるので、ゲラを読む機会が増えました。
ゲラとは-本になる前の段階の活字の印刷まで終わっている紙の束-です。
 ゲラを読んでいてビックリした事は「読みやすい」事。
 本になっている状態よりページはめくり難いのに、なんか内容がスラスラ頭に入ってきますね。マーキングとか付箋とかも貼りやすいし。かねてから書評家の人って何であんなに本が読めるんだろう?って疑問に思っていたので ちょっと発見!って感じでした。(もちろん「本」になった状態でしか僕は読みませんって書評家さんもいると思いますが)
 
 それと同時に 何回も読み込んだ物語が「本」の形でイザ、自分の本屋に入ってくる時はまた新たなる感動を覚えて新鮮です。
 やっぱ、本ってイイナ~ 手触りも最高。(本をなでなで)
 こんな装丁なんだ、帯もこう来たか! 見返しの色はこの色ですか?(喜)
 などと本マニア垂れ流しのニヤニヤが炸裂ですよ☆
 もちろんカバーを外して本体の表紙を見ることも忘れません。「あとがき」はゲラ段階は無いので、楽しみにチェックチェック!

 本になったものをまた読み返すと、内容はほぼ同じなのに “重さ”が違いますね。

 やっぱり「本」は文化だな、と思いました。今まで、ね、店長とか部長とか経験値が高い皆さんが、よく本をみてなでなでしているのを横目で見ていましたが、静かに本と対話していたのですね。これも発見です。

 ウチの店はコミックでも文芸書でも、レジでお会計の際、出来る限りカバーをおかけしています。
 紙で出来た、本屋のロゴが入ったものです。買っていただいた本を大切に何度も読んでいただきたいのでカバー付けは大好きな作業で大切なサービスだと思いますが、皆様にあえてお願いしたい事があり、それは……お家に帰ったら一度このカバーを外して、じっくり本と向き合っていただきたいな、と。
 作者の方のメッセージは物語の中にたくさん込められていますが、「本」という存在自体に、この業界に働く人々の意思が込められていると思うからです。

 そんな事いつもやってるよ。とか、毎日本棚からお気に入りの本を出して「なでなで」してます! という方はいらっしゃいますか?

 そんな貴方は町に出て、さらなる本マニア度を高めましょう。本屋さんの棚やPOPをみて「うぬ、できるなこの本屋」と識別できる目が肥えてる方にも、あたらしい「優良本屋識別法」をこっそり教えちゃいます。
 書店によって新刊の荷物が着く時間はマチマチですが、ダンボールから本を出して台車に載せかえている時、作業中の書店員を注目してください。
 ふと手を止めて、表紙を撫でていたり、カバーをとって本体表紙をチェックしていたら「当たり」です。本マニアの書店員です。そうゆう人が居る本屋の棚は面白いはずだし、掘り出し物タイトルも多いでしょう。(タブン)

 そんな本屋を見つけたら、平台(本を積んである台)の角をチェックすると面白いですよ。
 本屋の「一番良い場所」はこの角なんです。平台の中心や真ん中に積んである本が主役のように見えますが、一番売れる場所は“角”。これはウチの店・山下書店のルールだけではなく多くの本屋さんで同じようです。(各書店員仲間に聞いた話ですが)
 新作や話題作はやはり角置きが多いですね。
 でもそれよりその本屋で「売れる本」「売りたい本」は、激しい生存争いに勝ち残り、角(または角近く)に置かれます。
 私は、初めての本屋さんをスパイする時(は、平台の角チェックをします。文芸書、実用書、文庫、児童書、コミック……それぞれの棚より平台の角に何を置いているかで、センスとか熟練度がなんとなく分かります。(もちろん話題作の仕入れ数が分かるので売上も予想つきますよ)
 
 本マニアから、本屋マニアへ。気が付いたら あなたも本屋さんでお仕事をしてたりして……。(笑)

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