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連載第48回

〔春の新潮文庫〕『白い巨塔』『砂の器』のバカ売れ期間がドラマ最終回と共に終了。ありがとうありがとうとお礼を言うと共に、これからどうしたらいいの、私…。とちょっとした別れの虚脱感までいだいている昨今ですが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?

山崎豊子、松本清張とドラマ原作該当作品ばかりか、他のタイトルまで売れており、改めて、読みでのある本のすごさを感じてるのですが、ちょっと来年のことを考えて不安な気持ち(ええ、昨年より多く売れ病にかかってるものですから)にもなっております。いや、来年ばかりかこれから何を売ればいいんだ?城山三郎?←違う。

とはいえ、一行も同じ行がないと話題の文庫化『家族狩り』も好調ではあります。二巻目の初速が速かったので、あとは安心して仕入れて売るだけとなりました。よかったよかった。こうなると、5巻もあるのが嬉しい限り。


〔ちょっと旧聞〕マンガ『かってに改蔵』ファンブックのカバー後ろそで(というのか?)に写っている仕事場風景に中国パンダ祭りの新聞切り抜きが。かつてスクラップし忘れ、今だに後悔してる記事だったのでちょっと得した気に。

一月末にバレエ「ピンク・フロイド・バレエ」鑑賞しました。久しぶりのおバレエで誰を誘っていいかわからず、一人で行ってきたのです、が、これが両隣とも女子一人参加な席。見知らぬ同士仲良くなる、なんてこともなくつつがなく観覧して参りましたが、ポイント、ポイントで横三人(自分を含む)が同時にオペラグラスを取り出していたのが、非常におかしかったです。

次の日、熱さめやらずのままダンス本コーナーに行き『バレリーナ上野水香のすべて』(新書館)をダラーとした気持ちで眺める。また、もらったチラシで次回見に行く舞台を検討したりとウキウキ。ああ、でもどれもチケット代高いや。


〔小四〕桐野夏生『残虐記』(新潮社)を読む。小学四年生女子、ちょっと遠くに習い事、なじめず。の出だしから誘拐・監禁と一気にひどいことになだれていくのですが、小学四年、程度の差はもちろんありますが、いつか来た道のせいか読んでてツライ気持ちに。なんだってこんなに嫌な気持ちにさせる文章が上手に書いてあるんだろう。あんまりなので小四男子版・小田扉『団地ともお』(小学館)で中和。

さて、マンガ『団地ともお』団地住まいの小四男子の日常マンガ、帯はなぜだか雁屋哲。日曜日の夜遅く、がらがらの銀座線内で広げる。読んでるウチにおかしさが止まらなくなり、ぐふぐふ笑っていたら、隣に座っていた女の子にちょっと席をずれられる。怪しい人か、私。

怪しいだけでは何なので、後日このエネルギーを無駄にはすまい、とばかりに店に来た各出版社の営業の人に逆営業。出だしの「もういい一生服なんか着ない!」のコマに始まり、ちょっとおかしい所をチラチラ見せ、三名連続して購入してもらうことに成功。いい仕事したと満足した1日だった。


〔注意力散漫〕
3月のある土曜日。新宿・池袋で買い物して、大泉学園まで所用。帰りがけ、ふと気づくと買ったカーディガンの入った袋がない。ウォーーーとあわてて西武線まで戻り駅員に泣きつくも出てこず。呆然と立ちつくしながら、『文学賞メッタ斬り』(パルコ出版)に夢中になりすぎたせいだ、と反省する。知らない場所に行ったくせに、意地汚く本に夢中になるからだ。

子どもの時分より、大事なモノほどよくなくしていた(宿題のプリントとか、ようやく買ってもらったアイスとか)ので、こういった時の割り切り方が嫌になるくらい上手だと、いろいろ冷静な気持ちでいる自分に感心する。が、1万円カード払いのカーディガン…。白地に横縞で赤や黄緑や黄色が春めいていたかわいいカーディガン……。やっぱつらい。
まあ、そんな風に人を夢中にさせるカバー絵も素敵な『文学賞メッタ斬り』は大森望&豊崎由美両氏の題名通りな内容の対談本。各章のまとめがおかしいですよ。編集はカエルブンゲイの方ですね。売れ行きは初日から好調。内緒で注文数の上乗せをしてたので、ちょっとホッと。キャッチフレーズは「私たちの秘密の花園、公開中」とか考えたんだけど、どうかしら。

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