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第12回:~プロの販売員を思う~

 バーゲン時期です!お店の入ったビルごとバーゲンの嵐☆

 私のお店は新宿の駅ビルにあり、ビルの中には地下1F~5Fまで 18歳~28歳ぐらいまでの女性向けのファッションのお店が50件以上入っています。主にギャル系の華やかな洋服や雑貨がおおいかな。バーゲンの期間は各店の美女販売員さんが声を張り上げて、朝から晩まで凄い活気です。今、お店にある在庫は儲けを度外視しても売り払い、スペースを空けなければ 夏の新作を並べる事が出来ないので、とにかく値段を安くしてドンドン売りまくります。よくデパートにある「セール用の商品」というのは我が新宿マイシティでは見かけませんね。みんなセール前まではプロパー(定価)で売っていたものです。
 私は本屋さん意外でいろんな販促アイデアを貰うのが好きなので、時間があると色んなお店をフラフラするのが日課です。
 本日、昼休みに遊びに行ったのは、呉服屋さん。夏なので浴衣を見てきましたー。
 空いている時間だったのでリエコさんも店内の畳スペースに上がらせてもらって、いろいろ着せてもらって、凄く楽しかったデス。
 
 そこで まさに プロの接客を目の当たりにしたので そのお話をチョロッとね。
 
 2人組の23歳くらいのやけに背が高い女性の2人組みで、浴衣をお探しとの事。他にも何件も回ったけどどんな柄や色が似合うのか、どんなものが欲しいのか 自分でもわからない様子です。自分で売り場に並んでいるピンクや青の浴衣を合わせてみるのですが、しっくりきません。そんな様子を見ていたベテランの販売員さんがスッと取り出したのが、オフホワイトに浅黄色の小菊の散った一見地味な一枚でした。若い女の子ですからね、もっと華やかなのもが良いんじゃないか?と私もおもいましたよ。お客様も納得してない感じなのですが販売員さんに誘われるままに試着してみる事になりました。販売員さんは、その淡い色の着物に、金の大きな菊が刺繍された若草色と抹茶色のリバーシブルの帯と、山吹色の半襟をチョイス。クルクルと着付けていきます。シャッキリとした体付きのお客様にジャストフィットした一揃いになりました。凄く涼しげでとっても清潔感があるの。続いてもう一人のお客様には、濃紺と白の20センチ角くらいの大きな互い違いの市松模様の浴衣をチョイスです。渋くなりすぎる所を所々に大きなトンボさんが飛んでいてダイナミックな色柄でした。帯はエンジの細いものをキリリと合わせて、半襟は無しのようです。こちらも背が高くなくては着こなせないような上品な着付けでした。仕上げに2人お揃いの木目がはっきりと出たレトロ調の下駄を出してきて、ポーズをとってもらいデジカメで撮影。どこのモデルさん?という位、垢抜けた2人組み大変身です。本人たちも印刷された写真の自分の姿の色っぽさにビックリ。話を聞くとバスケットの実業団の選手だとか。毎年浴衣が欲しくて見ているけど、なかなか似合うものがなくゴツクなってしまっていたの…と興奮冷めやらぬ様子で話し始めました。
 もちろん全てお買い上げで。着付けに使う伊達帯などもフルセットでご購入のご様子です。帯に合わせた巾着も買ってたかな。セールなのは浴衣本体のみなんです。あとは全て定価。でも、お客様は凄く満足したいるご様子で、隣で見ている私にもハッピーな気持ちが伝わってきました。
 物を売るって、値段だけじゃないのよね。
 口には出さなかったけど「背が高い」というコンプレックスを逆手に取って、BESTな一枚を選び出す戦術眼と、経験からくるコーディネイトのセンス、一部を2人のお揃いにしてあげる乙女心を知っているサービス、など隙の無いプロの技を見せて貰いました!!

 本屋さんではこーゆー接客販売ってなかなか出来ないけど、お客様を満足させるためには、どんな事ができるかな?と真剣に思い返す出来事でした。

 ほんとはね 売り場の販促POPばかりでなく、「読書相談室」とかリアルにやってみたいんですが、そこまで進化した本屋さんはまだ無いですね。「何と何が好きで何が嫌い、今こんな漫画が読みたいんだけど、何かお勧めある?」なんて質問を受けると、「じゃあ、コレは読みましたか?」とタイトルを答えられるコミックフィッター…面白いと思いません? 結構需要はあると思うんだけどな~。
 自分は 今のところ、訪問してくれる出版社さん相手にコミックフィッターぶりを発揮しています。修行を重ねて、いつかコミックフィッター試験があったら、初代主席はワタクシのもの!と一人鼻息を荒くしている毎日です。

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